2020/10/20 04:17

貴金属を人に当てはめての性格分析

現在はシルバーも金もプラチナも鋳造会社は、仕事を受けるかと思いますが、以前は銀は銀のみの会社、金とプラチナしか仕事を受けない会社と、はっきり2つに別れていました。

貴金属の製造会社は、シルバーは素人のやる仕事みたいな偏見があった時代があり、私は修行時代シルバーから始めたものでしたから、金やプラチナの仕事を取り始めた頃、信用や技術に疑いを持たれ、どちらも相手にされないことがありました。

そんな世界だと理解してからは、一切シルバーの仕事をしていることを伏せて、メーカーさんを回って、営業した時期がありました。

 

その頃、金やプラチナのジュエリーも、金だけしかやらない職人さん、プラチナしかやらない人と完全分業になっている時代が長かったです。

 

時代が悪くなるにつれ、あれがいやこれがいいなどと言えない時代になってからは、金もプラチナも出来る人はやるようになりました。

が、その頃でも、シルバーは金やプラチナの職人さんはまだ仕事しようとはしません。

何故か、それは工賃が安い上、非常に手間がかかり効率が悪いからです。

 

落粉(おちこ)という磨いた後の粉類は、かなりの量にならなければお金にもならない、ということもあり熟練の職人さんはやりたがらなかったです。

 

そんな時代新参者の私が外注で仕事を取りに行けば、みんなが嫌がる仕事ばかりをせざるを得なく、おかげで金銀プラチナとオールマイティーになれました。

 

1.SV925の性格

 

持ち込みの天然石 リフォームしたチョーカーと取り外し可能なヘッド(中央のトルコ石)

 

そんなふうに嫌われ者の銀の性格は、たしかに厄介な性格です。

人で言えば「生いきざかりの中学生」といったところでしょうか、反抗期のような性格ですね。

 

簡単にはこちらの言うとおりには進まない。

しつこくしつこく研磨を続けないと完全な銀の色合いが出てこないのです。

中途半端ですと、何ミクロンという被膜が取り切れず、曇ったような仕上がりになってしまいます。

このように手のかかるところが、生いきざかりの中学生というところです。

 

しかし、しっかり手をかけるとその出来栄えは、なかなか美しいです。きりりとスッキリ仕上がります。本当の銀の色を見たことある方は少ないと思います。

根はとってもいい子です。

 

2.K18の性格

K18と南洋バロックパールのヘッド

ワイヤーから取り外し可能

 

なんと言ってもてのかからない楽な子です。

素直で明るく従順です。

貴金属三兄弟の中では一番扱いやすいです。

キズが付けばすぐに簡単に取り除けます。

表面のザラつきや色味も、手間かからずさっときれいに出来ます。

 

ロー付け(溶接)加工のときも、その部分のみに火を当てればよく、他の部分に影響を与えず楽に作業が出来ます。

傷ついてもすぐに立ち直り、何もなかったように、いじけずに明るく出来上げるという性格は、職人たちからの人気もあります。

私も一番楽ちんな地金です。

 

3.プラチナの性格

 

                   出来上がりプラチナリングとサファイア

実を言うといちばん苦手なのがプラチナです。

一言でいうと、彼らは「陰気」です。

何故かといえば、傷ついたらどう手をかけても

なかなか傷が取れない、削っても削っても削れないへらないので、傷が簡単には取り切れないのです。

 

厄介な性格です。

陰気でたちが悪いです。

丁寧に手をかけても、すぐには反応を示してはくれず、

K18とは正反対の性格です。

 

こちらのほうが根負けしそうです。

比重も一番多いので、デザインも金と同じようには行きません。

ボリューム感があるのがお好きな方には、デザインが少々難しくなります。

 

重くなったら使いたくないものになりますので、気をつけなければいけません。

 

まとめ

三種類の貴金属はそれぞれ全く性格が違います。

比重も違います。

それぞれの特徴を活かせるデザインで制作するのが一番使いやすいものが出来ると、考えております。

 

その特徴を利用してのデザインは、価格の配慮もできますので、考慮してデザイン制作しないといけません。

必要以上に高額にする必要もありませんし、又重量の配慮もないと、使いにくいものになります。